片平ゼミで学ぶブランド論とは
片平ゼミで学んでいる「ブランド論」とは、とても簡単にいうと、「強いブランド(多くの人を魅了するブランド)はいかにつくられ、続いていくのか」を考え、学ぶものです。
今日、「一流ブランド」という言葉が「一流企業」とほぼ同義で使われることが多いことからもわかるように、企業の繁栄・存続と強いブランド力の確立には密接な関係があります。
片平ゼミは、東大経済学部内では経営やマーケティングのゼミと言われることも多いですが、経営やマーケティングの議論だけにとどまらず、時には行動科学や 脳科学などの分野まで少し足を踏み入れて、ハピネスを生み出す企業とそれを受け取る生活者双方の視点から考えています。
片平先生が、
「ブランドとは、ヒト・モノ・カネ・情報に次ぐ『第五の経営資源』である」
「21世紀の経営はブランドづくりだ」
とおっしゃるように、企業と関わりながら生きていこうと考えている人にとって、片平先生の下でブランド論を学んでおくことは大きな力になるはずです。
ブランドとは
【ブランド(brand):銘柄、商標】(大辞泉より)
「ブランド」と聞くと、ヴィトン、グッチ、エルメス、シャネルなどの“所謂ブランド”を思い浮かべる人がいるかもしれませんが、辞書の定義のように、「ブランド」=「銘柄、商標」であり、上記のような“所謂ブランド”だけでなく、ディズニーもナイキもファミリーマートもプレミアムモ ルツも、固有の商品やサービスの銘柄、商標はあらゆるものがブランドなのです。
消費者の視点も取り入れながら、もう少し詳しく「ブランド」について説明します。
あなたの周りにこのような人(これに近い人)はいませんか?
「コーラはペプシではなくて絶対コカ・コーラだ!」
「バッグもポーチも財布も(グッチやコーチではなく)全部ヴィトン」
「パソコンはMac!」
「ディズニーリゾートに年5回は絶対行く」
これらの人はコカ・コーラ、ヴィトン、アップル、ディズニーの“ファン”であるといえます。
このようにコカ・コーラ、ヴィトン、アップル、ディズニーのファンとしてこれらに特別な愛着を持つ彼らは、その企業や銘柄の世界観から得られるハピネス(そこからしか得られない何かいいこと)があるからそれに惚れているのです。 この、ハピネスを生み出す世界観そのものがブランドです。
「世界観」「ハピネス」など、日常ではあまり馴染みのない言葉が多く、少しわかりにくいように思えるので、コカ・コーラを例に詳しく説明します。
「コーラはペプシではなくて絶対コカ・コーラだ!」という人は例えば「味」などの何かある特定の特徴に惚れているのでしょうか?
「厳密にペプシよりコカ・コーラの味の方がおいしいからコカ・コーラが好きだ(味という一つの特徴に惚れている)」という人は少ないはずです。
味も含め、赤いパッケージ、CM、コカ・コーラ社、自分のコーラを飲んだ経験、…など様々なものから形成される自分の中でのコカ・コーラのイメージ(世界 観)が、ペプシ・コーラのイメージ(世界観)よりも自分にとって圧倒的にいいものに(コカ・コーラにより多くのハピネスがあると)感じられるから、「コー ラはペプシではなくて絶対コカ・コーラだ!」となるのです。
コカ・コーラを例に説明しましたが、好きなブランドのある方は是非ご自身の好きなブランドに置き換えて考えてみてください。その方が更に理解しやすいはずです。
このように、私たちの学ぶ「ブランド」とは、冒頭に示した「銘柄」「商標」といった名前のことでもありますが、お客様にかけがえのないハピネスを提供する世界観そのものを指すのです。